2021/02/01

ディズニーCEOが実践する10の原則、読んだ

どこでどういう風に見て買ったのか覚えがないが、積読されていたので読んだ。ディズニーCEOが実践する10の原則、超絶興味深かった。

まずはじめに書いておくが、邦題の「ディズニーCEOが実践する10の原則」という 10の原則を期待して読んではいけない。10の原則は最後の最後にそれっぽいのがまとめて書かれるが、99%は著者のボブ・アイガーことロバート・アイガーの自叙伝で構成されている。伝わりやすく言うと、武勇伝。

しかしながら、超エキサイティング。ロバート・アイガーは、1974年にアメリカの民放会社ABCのスタジオ管理者からキャリアをスタートして、買収された側からディズニーのCEOまで昇りつめ、ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、そしてFoxニュースの買収を実現した人。エピソード7もこの人だし、マーベルのMCU、本書の中では大々的には触れられてないけど(ジョン・ラセターのごたごたのせいだろうと思う)、アナ雪なんかもこの人がいたからこそなのではないだろうか。この人がCEOになってから、ディズニー映画は文字通り甦っている。ディズニーランド上海もこの人。CEOになってからの15年間でディズニーの時価総額は5倍だそうだ。いっときはAppleの取締役にもなってた。

いやー夢があるわ。この本、ディズニー自身に映画化してもらいたい。誠実を武器に信頼を得て、権力構造を把握して目標に対していつ誰にどういうアプローチをするかという戦略性に関してすさまじい天才っぷりが全編爽快感たっぷり。しかも、イノベーションか死か、というところまで突き詰めてリスクを取って成功を積み上げていくのだからやばいにもほどがあるが、共感させられずにはいられない。特にスティーブ・ジョブスからピクサーを買収するくだりは一見の価値があると思う。あと「クリエイティブの作業は科学じゃない」というのがあるのだけど、ほんとそう思う。

こんな人、いるんだなあ。誠実推しの人格だと語られているけど、翻訳の妙もあるかもしれないけど、人情に訴えるアプローチがとてもグッとくる。アメリカすげーわ。そして本書の最後半で少し触れられるが、ディズニー引退後の政界進出という可能性について。アメリカの政界、AOCも期待するところだけど、ボブが大統領ってのもほんとの意味でMake America Great Againが実現しそうな気がしてエキサイティング。なってほしいなあ。きっとこの本はその布石なんだろうと思う。

あと、最後に小ネタだけど、ニューヨークからL.Aへの引っ越しに対する人々の抵抗が、この本のささやかなにやにやポイントだと思われる。アメリカ人のニューヨーク志向が垣間見えて面白い。

ディズニーCEOが実践する10の原則

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