2020/12/30

間違わないUSBハブの選び方(主にディスプレイ拡張について)

USBハブ、またはUSBドッキングステーション

ノートパソコンを使う上で、USBハブはもはや必須のガジェットと言っていいと思う。近年のMacやDellのXPSシリーズ、またはMicrosoftのSurfaceなど、持っているポートがそもそもUSB-Cのみというものが増えている。そこにUSBハブ、またはUSBドッキングステーションをつないで好きなように拡張する時代になっている。しかし、このUSBハブというものはとにかく機能が盛り盛りで実は選ぶのがとっても難しい。1500円くらいから3万円越えまで価格帯が広く、ポートごとに小さな機能差が多い。また、売り文句も巧妙で間違いやすい。本来は満たしていないスペックが満たされているかのような商品説明も散見されるので注意がいる。

そういうわけで、今年の5月頃にUSBハブを接続ポートの数で比較検索できるサービスを作ったりもした。

USBハブ検索

しかし、実際にUSBハブをいろいろ購入して使ってみると、機能は値段相応であるということがわかる。機能が限られていて安価な製品は数多く世に出ていて、そうしたクラスのものはうまく探せばそれなりにコスパをかせげる。が、例えば4K複数枚のディスプレイに出力する、といった高級なスペックを手に入れようとし始めると、途端に値段が跳ね上がって軽く20K円を超えてくる。

というわけで、今回はそのUSBハブを主にディスプレイの拡張機能に応じて価格帯で雑に分類して、欲しいUSBハブを間違わないで選択する役に立てればこれ幸いというエントリを書いてみる。

5K円程度のUSBハブ

もしも、USBハブに対する要求が以下のようであれば、5K円程度のUSBハブで十分である。たいていその要求はきちんとかなう。おそらく3K円くらいでも存在するはず。

  • パソコンと接続するUSB-C
  • USB Type-Aポート1個
  • ノートPCの充電に足りるUSB-Cの給電ポート
  • ディスプレイ拡張はHDMIポートひとつで4K@30Hz

上記のスペックにUSB Type-Aポートがもうひとつ足されたり、RJ45(Ethernetポート)がついてたり、HDMIだけでなくVGAもついてたりする。そのくらいのスペックが5K円程度。ものによっては4K@60Hzもいけたりする(PC側のスペックにもよる)。

10K円程度のUSBハブ

10K円あたりの価格帯のUSBハブは、おそらく欲しいポートは全て持っている。そしてディスプレイの接続枚数も増えてくる。が、ここに罠がある。ディスプレイ接続と言えば、大枠でVGA, DVI, HDMI, DPという接続方法がある。それぞれケーブルの形状・規格にもいくつかパターンがあり、特に 4K@60HZ を実現する場合、VGA/DVIは実現不可能、HDMIならver2.0への対応が必要で、DPでも1.2が必要になる。これは、パソコン本体(ドライバ)、ケーブル、ディスプレイの3点セットがすべて 4K@60HZに足りるスペックを持っていないとだめで、ひとつでもかけると 期待するスペックは発現されない残念な状態になる。

そして10K円前後のUSBハブは、主にHDMIとDPを複数もっていて同時接続が可能とうたうものが多く、接続の最大スペックは4K@60HZと書かれていたりするが、実態は、例えば2枚同時接続できるとしても、1枚だけの時は最大スペックが発揮される(4K@60HZで映る)が、複数枚接続にすると2Kに制限されてしまったりする。この制限は商品説明でかなりわかりにくく小さく短くそうとは思えないような書き方しかされていないことがほとんどなので、うっかり複数接続のディスプレイ全てが最大スペック表示されると思ってはいけない。この価格帯のものは基本的にそういうものだ。複数のディスプレイに接続して、wiondowsで拡張モードで表示できるが、期待しない低い解像度でしか表示できない。4K@30HZで複数枚同時出力を期待するなら(60HZならなおさら)、もう少し上のUSBハブを選択する必要がある。この機能は安くない(2020/12現在)。

20K円から30K円あたりのUSBハブ

20K円越えのUSBハブになると、複数ディスプレイの同時接続4Kができるようになる。ただし、たいていAC接続が必要なものになり、バスパワーではなくなるので持ち運びには向かない(大きさもそこそこでかくなるので持ち運ぼうとする人はいないと思うが)。さらに、接続したパソコンに電源を供給するPDがないものが多くなるので注意がいる。USBハブひとつですべてすませたい場合はノートPCへの給電は必須になると思うのでよくチェックしよう。PD給電があっても、モバイル端末を充電する程度の電力供給しかないという罠もあったりする。あとは普通に2020年において4K@60HZを複数枚ひとつのUSBハブでこなすのはけっこうシビアな世界で、なんだかんだスペック満たせないと4K@30HZや2Kになってしまったりもするので、強いこだわりがある場合は前述したとおりPCそのもののとポート、ケーブル、そしてディスプレイとUSBハブ、ドライバ、この全てにおいて注意深くスペックを確認する必要がある。いずれにしろUSBハブ単独で言うと、おおむね20K円が4K複数枚出力の壁である。いまのところ。

複数USBハブ

ひとつのUSBハブであらゆるガジェット接続のすべてすませようと思うと、どうしても価格がつりあがってしまうが、パソコンに複数のUSB-Cポートがあるなら、外部ディスプレイの2枚目からは別のポートから普通に出すとコストが抑えられる。USBハブは接続をまとめられるからこそ意味があるところですが、コストで言うと、当然分離した方が安いので無理しないことも大事。

まとめ

というわけで、最近、このハブなら4K@30HZ二枚いけると思って USB C ハブ ドッキングステーション マルチディスプレイ 9in1 HDMIx2(4K@60Hz)/Displayport(4K@60Hz)/PD(100W) を買ってみたけど、見事に4K出力は一枚限りで2枚目は1920pixelまでしか出力できない罠にはまって返品した。このハブは5K円切ってて、今どきは4K二枚もこんな安いんだーっと素直に思ってましたが、世の中そんなに甘くはなかった。商品説明をよく読むと、"最大" 4Kって書いてある。してやられたわ。

その後、Cable Matters Thunderbolt 3 ハブ HDMI 2.0 60W ドッキングステーション Windows MacBook Pro用 を買いなおして無事4K二枚の生活を手に入れた。(それでも実は4K2枚のうち片方は30Hzまでしかでていない。60Hzが必要なことをしないのでいったん満足しているけど 片方のディスプレイが30Hzになっていたのは、下図にあるUSB-C to HDMI adapter が30Hzのせいだった。60Hz対応のもの (1K円ちょい) に差し替えて無事2枚とも4K@60Hzになりました)

接続状況はこんな感じ。

XPS 9300
  +--- (USB-C Thnderbolt 3) --- Cable Matters USBハブ
                                    +---- (HDMI) --- LG 4K@60HZ
                                    |
                                    +---- (USB-C Thunderbolt3) --- USB-C to HDMI adapter --- (HDMI) --- LG 4K@30HZ
                                    |
                                    +---- (USB3) --- Mouse
                                    |
                                    +---- (USB3) --- Wireless Keyboard ドングル

Windows 10 で特にドライバは入れてなくて、USBハブはつないですぐ認識されて、スリープから復帰してもディスプレイその他の接続はきちんと期待通りになるのでノーストレス。電源オフからの復帰でももちろんすんなりいく。そして熱くなるということは今のところない(部屋が寒いから問題ないだけかもだけど)。

以上、ではでは。良いお年を~(何度目か)

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